2010年 2月

タバコが健康に悪影響を及ぼすことは誰もが知っているところだが、具体的にどのような悪影響を及ぼすのかをここに並べてみた。

◎ガン
喫煙は肺ガンリスクの高い遺伝子を持った人が喫煙を続けると「肺ガン」を発症するリスクを増大させるとして、注意喚起が行われているのをご存じだろうか?疫学研究からも問題が指摘されており、2003年の統計では20~24歳の男性が喫煙を開始して肺がんを発症して死亡するリスクは、喫煙者で人口10万人あたり 114.0人、非喫煙者は24.1人との統計によって、喫煙における肺がん発症のリスクは約5倍となる結果が示されている。また、全てのがんにおいても、10万人中、喫煙者で 571.5人、非喫煙者で347人との結果が出ており、ガン罹患率が高い事が示されている。

◎ニコチン依存症
「ニコチン依存症」はタバコの悪影響として真っ先に名前が挙がるのもの一つ。明らかな依存性を持つニコチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンに分子構造が類似し、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することで、中枢神経のドパミン神経系、特に脳内報酬系を活性化する。ニコチン摂取を続けると、ニコチン受容体が減り、ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となってしまう。また、ニコチンを過剰摂取した場合、嘔吐、下痢、縮瞳などの末梢神経症状や、妄想、幻覚および錯乱などの中枢神経症状を呈することもあり、場合によっては死亡することもある。

◎呼吸器疾患
喫煙によって慢性気管支炎、肺気腫などの「呼吸器疾患」が生じることがある。軽度のものを含めると、習慣的に喫煙する人のほぼ100%に気腫性変化が生じている一方、非喫煙者にはほとんど見られない。喫煙によって肺胞がタバコの煙に曝露されることで肺胞壁の炎症、破壊が生じ、結果 的にガス交換可能な面積が減少してしまう状態が「肺気腫」である。肺気腫を発症すると通常の空気を呼吸するだけでは充分なガス交換を行えず、また肺胞の破壊によって生じた肺の空洞によって胸郭の動きが制限され、呼吸困難となってしまう。さらに重症になると運動制限や酸素吸入を要する状態になることもある。WHOによれば全世界の死亡率第4位とされ、日本でも患者数は生活習慣病のほぼ倍と言われている。また、喫煙は気管支喘息も悪化させることがよく知られている。

◎循環器疾患
タバコの煙に含まれる活性酸素は、血管内皮細胞を障害する。そのため、動脈硬化が促進され、狭心症、心筋梗塞、脳血栓 、脳塞栓、動脈硬化、動脈瘤、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)などのリスクが増加することが統計的に示されている。

◎妊娠中の胎児への悪影響
喫煙は妊娠を脅かす最大の危険因子であり、周産期死亡の10%・低出生体重児の35%・早産の15%が喫煙に起因するという研究報告がある。妊娠中に能動喫煙あるいは受動喫煙すると、流産、早産の危険性が上昇し、出生後の乳幼児突然死症候群(SIDS)、中耳炎、呼吸器感染症や行動障害などの罹患率が増加する。また、口蓋裂、口唇裂などの先天異常の危険性も上昇する。だが、妊娠中の喫煙は「“防ぎうる”最大の危険因子」であることも事実。日本では母子手帳に「喫煙を直ちにやめる」ようにと記載されている。

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タバコはこれまで何度も増税が行われ、その度に値上げが繰り返されてきた。景気の低迷によって家計が厳しくなる中、大幅に値上げされるタバコ代の捻出は決して楽ではないはずだ。

◎いつか1箱500円の時代も
2009年12月22日、日本政府はタバコ1本あたり3.5円の増税を行うことを決定した。タバコ税に関して過去10年間で3回の増税が行われてきたが、これまで1 本1円以上の値上げをしたことはなかったため、今回が最大増税幅となる。高齢化や健康意識の高まり、喫煙場所の縮小などから、たばこの販売数量は年間4%強減少しているが、タバコ1箱の値段のうち約80%がタバコ税である外国に比べれば、今回の増税でもまだタバコ税の税率としてはかなり低いのが現状。今後の増税次第では、やがて「1箱500円」の時代となるのも先の話ではないかもしれない。

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健康増進法が制定された今、喫煙に対する社会的なイメージはさらにダウンしており、喫煙者自身はもちろん、副流煙が非喫煙者に及ぼす悪影響も問題視されている。

◎健康増進法の制定
健康増進法とは、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された法律であり、平成13年に政府が策定した医療制度改革大綱の法的基盤として制定された。

健康増進法は従来の栄養改善法に代わるもので、第5章以降は栄養改善法の条文を踏襲している。第1章から第4章までの条文は新たに設けられたもので、健康増進法で加わった条文では、「国民は(略)生涯にわたって(略)健康の増進に努めなければならない」とするなど、健康維持を国民の義務としており、自治体や医療機関などに協力義務を課 しているなどの特徴がある。

2条は、国民は生涯にわたって健康の増進に努めなければならないとされており、5条は、国、地方自治体、健康保険者、医療機関などに協力義務を課している。7条は、厚生労働大臣は、国民の健康の増進のための基本的な方針を定めるとしている。

そして第25条では、多数の者が利用する施設の管理者に対し、受動喫煙を防止するために必要な措置を講ずるよう求めている。また、厚生労働省健康局長通知により、本条の制定趣旨、対象となる施設、受動喫煙防止措置の具体的方法等を示している。この第25条が施設や交通機関での分煙・禁煙の動きにつながっているのは紛れもない事実である。

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電車やバスの車内はもちろん、駅やバス停でも分煙措置が進んでおり、航空機においては完全禁煙化された。今後も交通機関における禁煙・分煙化の動きはさらに加速していくだろう。

◎整備の進む交通機関での禁煙・分煙化

1990年代から駅やバス停などでは一般スペース(禁煙)と分離した形での喫煙場所設置が進み、2000年代には「喫煙コーナーを除き禁煙」という案内放送が当然のものとなった。
とはいえ、普通列車用のホーム(特に設備投資が難しいローカル線など)は、一角を完全に区切って喫煙場所を設置するのが難しい場合も多く、プラットホーム上を面的に指定するに留まっているケースもある。このような喫煙場所は跨線橋や改札付近など乗客の往来が激しい位置に設置されたり、風向きによって喫煙場所が風上となるケースも多いた め、完全分煙とは言い切れない面があるのも事実。 また、ホームの端のほうに喫煙場所を設ける場合でも、駅利用者が増大するラッシュ時にはあまり意味を成さなくなるため、時間帯で喫煙禁止とする駅もあった。近年では、これらの問題を解決すべくホームを終日禁煙とする駅が私鉄を中心に増加している。

2000年代には、一部例外のサービスを除き、バス(高速バスを含む)・旅客機(国内線・国際線ともに)が禁煙体制となった。鉄道は特急(新幹線含む)で喫煙車と禁煙車が分離されているほか、ほぼすべての普通列車で車内禁煙となっている。

タクシーでも禁煙化が進められており、乗車ドアなどに「禁煙タクシー」などの表示も見られるようになり、これら禁煙タクシー内で喫煙すれば、降車を要求される場合もあるようだ。

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職場の禁煙・分煙化が進む中、好きな時に好きな場所でタバコを吸える職場は確実に減少傾向にある。もはや勤務中にタバコを吸うのは昔ほど簡単ではなくなったようだ。

◎進む職場の禁煙化
ホワイトカラー職では、2000年代以降オフィスなどではデスクでの喫煙禁止が主流となっており、これらでは喫煙室を設けて対応するケースが増えている。

ブルーカラー職の多くでは作業中の喫煙を全面禁止とし、休憩時間のみ適時必要に応じて喫煙場所での喫煙のみを許可するケースが多く見られるようになった。特に製造業では製品を製造する途上での喫煙は従業員の労働環境への配慮の他にも、製品の品質管理や業務に使用する機器類への影響、火災への懸念なども絡み制限されている。

喫煙室を設けることによる分煙で、喫煙者にとってストレスなくタバコを吸える環境が整っていると考えられがちだが、喫煙室・喫煙場所を頻繁に利用すると、その都度席を離れることから「勤務態度に難あり」と見なされる傾向がある。また、業務時間内の禁煙を積極的に評価しようとする企業も増えており、特に接客業では、顧客に対応する場合に口臭や服が臭いとクレームにつながることもあり、喫煙者が業務時間内の喫煙を自ら避ける傾向も見られ、休息時間の喫煙後にガムを噛んだり歯磨きを行う人もいる。

いずれにせよ、勤務中に好きな場所で好きな時間にタバコを自由に吸える時代は終わったと考えていいだろう。

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路上喫煙禁止条例の施行によって、歩行中の喫煙を規制する地方自治体が増加しており、今後も多くの自治体が路上での喫煙を規制することになるだろう。

◎どこでも気軽にタバコを吸える時代ではない
どこでも気軽にタバコを吸えていた・・・そんな時代はもう過去の話であることを知っておくべきだろう。路上でのタバコの喫煙行為をなくす事を目的とした「路上喫煙禁止条例」が全国の各自治体で施行されるようになったからだ。ではこの路上喫煙禁止条例とはいったいどのようなものなのか?

◎路上喫煙禁止条例とは
厳密に言えば路上喫煙禁止条例という名称は、歩行中の喫煙を規制する条文が含まれた条例の総称のようなものであり、そのような呼称を持った条例が存在するわけではない。例えば「環境条例」、「歩行喫煙禁止条例」など各自治体によって様々な名称がある。

2002年に東京都千代田区が、「安全で快適な千代田区の生活環境の整備に関する条例」を制定し、かつ当該行為の取締を実施したのを皮切りに、他の自治体でも類似の条例を制定するもしくは条例内に罰金の過料がない、禁止または努力義務を組み込んだ条例を制定する動きが広まった。千代田区の場合は過料として2,000円(条例による上限は2万円)を徴収している。吸いがらや空き缶の散乱を防止する環境条例と関連づけて制定される自治体も多い。

過料徴収を明記している条例においては、路上禁煙地区内で喫煙した者、もしくは職員からの是正命令に従わなかった者が徴収対象者とされている。その場で職員に過料を納付するか、現金の持ち合わせがない場合等は銀行振込等による後納によることが多い。もっとも、後納を選択しておきながら期限までに納付しない者もいるようで、例えば千代田区では後納選択者のうち8割が期限までに支払わないという問題も起こっている。

◎条例制定の背景
路上での喫煙行為は、医学系諸学会・公衆衛生団体などが警告している受動喫煙による健康被害への意識の高まりや、煙草の火による火傷や服の焼け焦げ、火災 の誘発、吸殻の不法投棄などを引き起こすなど危険を伴う行為であるという声が高まり、煙草と喫煙者への批判が高まるようになった。
1994年1月9日、JR東日本船橋駅構内において、歩行喫煙していた男性のたばこの火が幼女の瞼に当たり、救急搬送されるという事件が発生した。通常であれば過失傷害罪が成立する可能性があるが、この事件では当該行為者を特定できず、検挙に至らなかった。これらの路上喫煙による被害を未然に防止し、地域住民等の生活安全を確 保することを主たる目的として、各自治体において制定が行われているのである。

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